「我々業界にとって非常に重要な問題です。このままでは、へたをすると業界そのものが大打撃を受けかねない。我々自身も改めるべきところは改めないと……」
そう本音を漏らすのは、ある大手コンビニエンスストア本部の関係者だ。本誌が繰り返し報じてきたコンビニFCビジネスの欺瞞性。FC加盟店に犠牲を強い、自分たちのみ繁栄を謳歌するビジネスモデルがもはや通用しない現実を、当の本部も自覚し始めたらしい。
既報のとおり、今年2月24日、不当にチャージ(ロイヤリティ)を徴収され続けたとしてセブン‐イレブン・ジャパン本部を訴えていた加盟店の主張がついに東京高裁で認められ、セブン‐イレブン本部に不当利得2200万円の返還を命じる判決が下った。
この画期的な判決を機に、今後、欺瞞的なコンビニFC商法に本格的な司法のメスが入る可能性が高まっている。各コンビニ本部はそうした事態に備え、水面下でFC契約の見直しなどの対策を進めているという。
「セブン‐イレブンが敗訴した高裁判決では、本部のチャージ徴収システム自体に詐術性があると認定されている。最高裁でどういう判断が下されるかは予断を許さないが、少なくとも、セブン‐イレブンに代表されるコンビニFC商法は公序良俗に則した真っ当なものではない、という認識が司法の現場にも広がっている。コンビニ業界が大きな転機を迎えているのは間違いない」
すでにローソンやデイリーヤマザキ、ミニストップは、契約書類で、廃棄ロス原価や棚卸ロス原価にもチャージがかかるカラクリについての説明を明記(従来はセブン‐イレブン同様、説明してこなかった)するなど、欺瞞的システムの改善(アリバイづくり?)に取り組んでいる。だが、コンビニFC=欺瞞的システムという司法判断が仮に定着すれば、加盟店への不当利得返還などで膨大な資金支出を迫られ、経営の屋台骨を揺るがす恐れもある。
それほど今回の高裁判決は重い意味をもつが、当のセブン‐イレブンに果たして自己改革の意欲はあるのだろうか。廃棄ロスと棚卸ロスにチャージはかかっていないと相変わらずの主張を続け、敗訴判決に関するマスコミの取材にも「敗訴という言葉は適切ではない」などと注文をつけているというから、もしかすると改革の意欲は乏しいのかもしれない(後略)