ペイオフが全面解禁される4月1日、ビジネスモデルが似かよった2つの銀行が節目を迎える。
ひとつは、4月1日に開業する東京都の新銀行「新銀行東京」、もうひとつは、1年前に開業し、初年度決算を迎える「日本振興銀行」である。ともに、貸し渋り・貸し剥がしに苦しむ中小・零細企業を支援する新しい銀行モデルの構築を目指す点で共通している。「無担保・無保証」で「ミドルリスク・ミドルリターン」のニッチ市場を開拓する新しい銀行像を提供してみせるというものだ。
しかし、両銀行とも前途洋々とはいかないようだ。一足先に開業した日本振興銀行の業績がその難しさを如実に示している。
はたして無担保・無保証を謳う新しい銀行モデルは成立するのか――。
「東京都の新銀行東京は4月1日に開業するが、本格稼動は秋口にずれ込む可能性が高い」と関係者は語る。システム対応が間に合わないためで、店舗についても大手町本店、錦糸町、新宿、蒲田、上野、立川の5カ店を出店することを決めているが、未だ店舗スペースを確保したにすぎず、端末の設置はこれからだ。とりあえずテープカットはするが、当面は開店休業状態となる可能性が高い。
そもそも、新銀行東京は新設銀行であるが、実質は昨年4月に東京都がビー・エヌ・ピー・パリバ信託銀行を買収し、この銀行を新銀行の準備会社として開業準備を進めてきた経緯がある。
厳密にいえば都は、同信託の買収時点で、銀行を保有し、業務を開始できたわけであるが、金融庁の命令により、「既存顧客との既存取引に係る管理業務」「資本の預け金への運用」を除く新規業務を行なうことを禁止され、開業準備に専念することとされてきた。この縛りが3月末で解消され、晴れて開業の運びとなった格好である。(後略)