(前略)その05年は昨年同様、通信セクターが再編の目玉になりそう。日本テレコム、C&WICDなどを相次いで買収し、いまや通信大手にのし上がったソフトバンクの携帯電話事業への新規参入問題にとりわけ注目が集まる。「参入構想が仮に頓挫すれば、ソフトバンクはボーダフォン買収に動く可能性もあり、ゆくゆくはKDDIの買収すらあり得ないことではない」(業界関係者)といい、そうなれば通信業界の勢力図は一変する。いずれにせよ、携帯電話や固定電話、ブロードバンド事業をめぐってのNTT、KDDI、電力系、ボーダフォンなどとの覇権争いがより激化するのは間違いない。
自動車業界での注目は三菱自動車工業。独ダイムラークライスラーの支援打ち切り表明、一連の不祥事によりブランドイメージが失墜し、もはや自力再建の芽はない。日産自動車との軽自動車分野での提携、仏プジョーとの包括的提携交渉などの行方が注目されるが、結局は多額の債権放棄をセットにして解体の道を辿る可能性が高い。一部には「銀行主導による法的整理も」(金融関係者)というショッキングな情報も。
流通業界の焦点はダイエーに尽きる。産業再生機構によるデューデリジェンス後、米ウォルマート、イオン、イトーヨーカ堂、丸紅、住友商事、米サーベラス、米ゴールドマン・サックスなどを軸とした争奪戦が展開されることになるが、現段階では「ヨーカ堂や商社など国内勢への売却が有力視されている」(大手紙デスク)という。
金融セクターでは今年も、ノンバンク業界で従来の垣根を越えたアライアンスが繰り広げられそう。UFJ系列の日本信販とUFJカードの合併が延期され、東京三菱系のディーシーカードの合流構想が急浮上。JCB囲い込みのシナリオが見え隠れしているが、そのJCBには「三井住友も多大な興味を示している」(メガバンク)という。消費者金融業界では、中堅以下の淘汰が進むほか、大手のアイフル、武富士、三洋信販の動きが焦点だ。
銀行業界もゆくゆくは、みずほと三井住友、あるいは農林中金との連携など、大手銀行の再々編もあり得ないことではない。ただし当面の注目は05年4月のペイオフ全面解禁を控えた地銀・第二地銀・信金・信組。原則として破綻処理はないものの、再編や公的資金注入のターゲットとして、北都、荘内、北越、福島、大東、八千代、東日本、千葉興銀、もみじ、福岡シティー西日本、九州親和、熊本ファミリー、沖縄、沖縄海邦などの名前が取り沙汰されている。(後略)