記事(一部抜粋):2005年1月掲載

経 済

五味長官「木村剛との怪しい蜜月」

金融庁長官に囁かれる「公私混同」疑惑【金融ジャーナリスト匿名座談会】

(前略)
A というか、金融庁そのものがおかしくなっているような気もするけどね。
C 同感。中でもおかしいと感じるのは、伊藤達也・金融担当大臣の私的勉強会の存在だ。「アドバイザリー・チーム」だなんて気取った名前をつけているが、いったい誰がアドバイザリーチームが必要だなんて言い出したのか。私的だからいいだろうという人もいるけど、そもそも役所や大臣が集めた会議が「私的」というのは妙な話だ。実際、金融庁の中で会合が開かれて、五味廣文長官など幹部クラスが出席しているわけだからね。
A たしかに不思議な会議だよ。会議での議論を生かして行政方針を決めると言っているんだが、それなら、もっとオーソライズして、メンバーの決定も透明にしないといけない。いらぬ誤解を招くだけだ。
C 相変わらず木村剛氏がメンバーだし、不良債権処理をビジネスにしている連中や、銀行のシステム開発をやっている会社の経営者などもいる。変なメンツだよ。
B 役人から聞いたんだけど、会議の内容も酷いらしいよ。私的勉強会だから議事録が公開されないのをいいことに、「こういう制度改革をすると、私たちにはこんなビジネスが生まれる」なんてことを話し合っているらしい。教えてくれた役人も「変ですよ」と言っていたが、だからといって「おかしい」と声を大にして異を唱えるムードではないそうだ。
A 五味長官もいったい何を考えているんだか。今後問題になると思うよ。
B 2005年は「五味問題」が浮上する可能性がある(笑)。
C 会議のメンバーである木村氏は日本振興銀行の筆頭株主だ。しかも社外取締役というのは形式で実質的な経営者だ。それが大臣の勉強会のメンバーというのならば、全銀協会長も地銀協会長もメンバーに入れるべきだろう。しかし、そういう人たちがメンバーに選ばれないのは、金融ビジネスの当事者だからだ。当然、木村氏も金融ビジネスの当事者、利害関係人だ。
A ところが五味氏は、木村氏がメンバーであることに問題はないと言っている。支離滅裂とはこういうことをいうのだろう。
C アドバイザリー・チームには途中から突然、三木谷浩史・楽天社長まで加わった。ネットビジネスにとって金融はおいしい分野だ。これも利害関係人になり得る。三木谷氏は木村氏と親しく、その関係でメンバーに加わったという話だ。
B そもそも五味氏と木村氏は、盟友関係にあるといっていいほどの間柄だ。竹中平蔵・前金融担当大臣と木村氏の親密な関係が一時話題になっていたけど、竹中大臣に木村氏を紹介したのは五味氏だ。それがきっかけで木村氏は金融行政の中枢に食い込んだ。
C そういえば、木村氏がつくった日本振興銀行には、五味氏の友人である三菱商事出身者がいるね。五味氏の関係で振興銀行入りしたのだとすれば、金融庁長官の公私混同ぶりも甚だしい。
A 木村氏がつくった雑誌『FJ(フィナンシャル・ジャパン)』の創刊準備号で、五味氏は木村氏と仲良く対談をやっている。しかも堂々の7頁(笑)。
C 創刊準備号って、タダで配布する100%営業用の雑誌だろ?。それに長官が出るというのは、いかがなものか。木村氏への個人的関係による営業支援になってしまう。金融庁に関連する企業は「長官が出るほどだから無視できない」と雑誌を購入したり、広告に協力するかもしれない。実際、日興コーディアル証券などが大量購入し、それを顧客に配っている。
B それってマズイんじゃないの?
C だと思うよ。明らかに不適切だ。五味氏はこれまで何の釈明もしていないところをみると、居直っているとしか思えないね。
A 日本振興銀行の許認可に至る経緯も不透明だったね。
C あっという間に認可が下りた。五味氏の後押しがあったからというのが霞が関界隈ではもっぱらの噂だ。
B 木村氏は、五味氏が一時、不遇気味だったころに接近して、仲よくなった。人脈づくりはうまいが、やりすぎだ。振興銀行の認可問題は国会で取り上げるべきだ。
A 金融庁の中にも、最近の状況を危惧している役人はいる。ところが、五味氏を恐れて問題にできない。金融庁はUFJへの検査で「自浄能力がない」という見方をした。寺西正司頭取体制の下で、善良な行員たちが自由に発言できず、仮に発言すればすぐに関連会社へ飛ばされるようなムードが確かにあった。いまの金融庁は当時のUFJと同じだ。(後略)

 

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