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その球界進出宣言で一躍有名になったライブドアだが、肝心の経営実態はといえば、危うさが否めない。
同社は1996年にオン・ザ・エッジの社名で設立され、光通信の出資を受けて上場した、いわゆる「光もの銘柄」だ。国内最大手の無料インターネットプロバイダーだったライブドアを買収、そのブランドを引き継いで今年2月に再スタートを切ったばかり。このように国内外のネットベンチャーを相次いで買収する一方、今春には同社が筆頭株主だったイーバンク銀行とのトラブがネット上での中傷合戦に発展、信用棄損行為で刑事告発されるなど何かと話題をふりまいてきた。そして今回の大阪近鉄バファローズの買収宣言で、全国区の知名度も獲得。
しかし企業買収に熱心なわりには、明確な戦略が見えてこない。たとえば日興コーディアル系の日本グローバル証券、マザーズ上場のネットベンチャー・バリュークリックジャパンを矢継ぎ早に買収(買収金額は合計で120億円とも)したが、前者は20億円を超える赤字でネット証券としては後発組、後者も3期連続赤字と、いずれも投資対象としては疑問が残る。さらに、金融サービス業への進出を狙って買収した中堅消費者金融のロイヤル信販も不透明な部分が多い。ちなみに消費者金融といえば、電話担保金融で知られるマルフクが、ライブドアの大株主に名を連ねている。
ライブドアの収益構成をみると、金融事業の売り上げが、本業であるはずのインターネット事業を上回り、利益に至っては大半が金融事業で占められている。「同社のネットコンテンツは独自性に乏しく、ユーザー数でもヤフーや楽天との格差は大きい、というのが業界の常識」(アナリスト)ともいわれる。
昨年11月には前代未聞の株式100分割を発表し、市場関係者を驚かせたが、これについても「株式分割で株価が急騰した別のベンチャーの模倣」(業界関係者)と揶揄され、そのポータルサイト同様、二番煎じの感は否めない。唯一の武器は、今年4月の約350億円の増資によって調達したとされる連結ベースで400億円を超える現預金。そのため早急に資金繰りに窮することはないだろうが、そのビジネスモデルをみるにつけ、不安材料は山積している。
ところで、ライブドアと楽天、そして満を持してダイエーホークス買収に名乗りをあげたソフトバンクの3社は、きわめて密接な関係にある。ライブドアの堀江貴文、楽天の三木谷浩史両社長は、以前からソフトバンクの孫正義社長と親しく、前述のように光通信の重田康光社長などのネット人脈との関係も深い。2001年には楽天がライブドアの子会社を買収した過去もある。(後略)