(前略)
B ところでUFJと三菱東京の統合話に戻るけど、竹中平蔵大臣らはこの経営統合を必ずしも喜んでいないようだね。
C それはある。竹中大臣のグループは、UFJを追いつめて、りそなと統合させることを目論んでいた。その前に、信託勘定はきちんと保護しないといけないということで、圧力をかけて、住友信託へのUFJ信託売却を後押しした。そして、りそな・UFJの統合では足りなければ、りそな・UFJを住友信託に吸収させ、メガ信託銀行をつくる。そうなれば三つの大手銀行が一気に一つになるわけで、オーバーバンキングの是正というお題目が達成できるわけだ。おそらく、住友信託はそこまで因果を含められていたはずだ。
A 確かに、UFJ問題が持ち上がって以降、UFJをりそなにくっつけようとする竹中シンパの人脈が動いていた。それも単発的な動きではなかったね。
B 竹中大臣は、三菱東京・UFJ統合交渉の発表後、周辺に怒りを爆発させていた。それほど、今回の経営統合を面白くないと感じている。今後、何か仕掛けてくる可能性がある。
C それは否定できないね。三菱東京・UFJの経営統合は、三菱東京がSEC基準を遵守しなければならないので、統合のタイミングが来年半ばまでずれ込むことになった。つまり、UFJは今年度決算を単独で切り抜けなければならない。この点が竹中大臣たちの狙い目になってくるだろう。
A 一方で、りそなの再生は期待通りに進んでいない。りそなの実質国有化をめぐっては、竹中大臣やコンサルタントの木村剛氏などが「理想的な処理」と自画自賛して、再生がすぐにでもできるようなことを触れ回っていた。ところが現実はそれとは程遠い。そうした実情を隠すうえでも、UFJとの統合は格好の手段だったはずだ。
B しかし、たとえそうした思惑が権力者にあったからといって、民間同士が市場メカニズムの中で自己責任の下に経営統合の決断を下したことに対して、茶々を入れていいはずがない。もし竹中グループがそうした動きに出れば、黙って見過ごすことはできないね。(後略)