政 治
民主党は「九月分裂」の様相
小沢vs中堅・若手の亀裂、自民党を巻き込んでの再編も
菅直人の辞任に伴う民主党の代表選は、いったん小沢一郎で内定したのもつかの間、小沢の国民年金未納が発覚し、岡田克也が渋々就任する事態となった。菅の辞任も小沢の挫折もいわば身から出た錆。首相の小泉純一郎と閣僚の年金未納を政権攻撃に結びつけようという意図がブーメランのように自らの足をすくった。
参院選を前に民主党のイメージは地に落ちた格好だが、意外にも党内の中堅・若手には「かえって良かった」という声がある。九月の代表選で鳩山由紀夫、菅、小沢、岡田ら実力者を党中枢から一掃し、新たな民主党を船出させる準備が整ったからだ。小沢サイド対反小沢の中堅・若手。民主党の亀裂は一気に深まりつつある。
小沢は、菅が両院議員総会で辞意を表明してから四日後の五月一四日に代表就任を受諾した。菅の辞任で党内はあっという間に小沢待望論が大勢になったが、小沢は焦らすように受諾を引き延ばした。表立った声にはならないものの党内に自らへの反発や嫌悪があるのを承知し、後で「四日の間、誰も私の代表就任に反対しなかった」といえるようにするためで、主導権確立への小沢流権謀だ。
小沢はもともと九月には菅を追い落とし、代表の座を奪う計画だった。だから昨年一一月の衆院選挙の最中から菅に距離をおき始め、鳩山や横路孝弘のグループを懐柔すべく画策してきた。年金未納問題が噴出する以前の時点では、参院選はどう計算しても公明党が全面協力する自民党に民主党が勝てる情勢ではない。小沢の見通しでは、菅は参院選敗北の責任をとって辞任、あとは鳩山、横路らと連携することで民主党は自分の思うままに動かせる状況が生まれるはずだった。
だが、年金未納問題が浮上して小沢の考えは変わった。(後略)