記事(一部抜粋):2004年4月掲載

政 治

小泉に「公明切り」の予兆

自民党再建に「宗教政党」は不要

 小泉政権の安定に公明党が果たす役割は大きい。昨年の衆院選で自民党が敗北を免れたのは公明党・創価学会の集票力であり、衆参両院で波乱なく法案審議が進むのも「自公蜜月」の賜物だ。小泉純一郎はこの蜜月関係の中で道路公団などの特殊法人改革や郵政事業民営化の「小泉改革」を自分流に仕上げる路線をひた走っている。しかし、公明党・創価学会につけこまれる政権運営は確実に自民党の国民政党としての資質を蝕みつつある。野党民主党はそこを攻撃のポイントとする戦術であり、自民党議員の間には不安と不満が高まる。参院選後、小泉が大きく方針転換して公明党を切り捨てる可能性が永田町で現実味をおびて囁かれ始めた。
「容赦なく、叩くところは叩く覚悟で臨んでほしい」
 民主党代表の菅直人は3月10日の「次の内閣」で、かつてない強い口調で檄を飛ばした。1994年当時の細川連立政権を、野党だった自民党が「細川政権糾弾本部」を設置して攻撃、佐川急便と細川護熙の政治資金疑惑を発掘して退陣に追い込んだ。細川内閣の閣僚だった菅は、当時の悔しさを込めて振り返り、「あのころの自民党を見習え」とハッパをかけた。
 菅が「叩け」という対象は、小泉やその周辺ではなく公明党・創価学会だ。菅は小泉政権の急所は公明党にあるとみている。一連の改革やイラクへの自衛隊派遣などの政策で小泉を攻撃しても、支持率の高い政権に致命傷を負わせるのは難しい。夏の参院選挙をにらめば、「自公蜜月」に楔を打ち込むことが民主党勝利のカギになるという認識だ。(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】