(前略)いずれにしても、特別検査によって、UFJの大口融資先に混乱が及ぶのは避けられない。
再建計画3年目を迎えるダイエーはいよいよ最終局面に入りつつあり、大京や藤和不動産は借入金こそ減ったものの収益目標は頓挫寸前。国際興業の抜本処理は手付かずで、日本信販に至っては「再建計画の練り直しに追い込まれる可能性がある」(大手銀行幹部)という。
今年4月に合併するニチメン・日商岩井HDも、「4000億円ともいわれる日商岩井の隠れ損失疑惑が浮上し、合併そのものに赤信号が灯りかねない」(経済紙デスク)との見方があり、UFJとして多額の追加支援を強いられる可能性もある。
意外なところでは旧三和をメーンとする阪急グループと国際自動車。国際自動車はケイエムタクシーで知られるが、赤字続きのうえに年商のおよそ5倍にあたる2000億円もの借入金がある。自力返済は困難で多額の追加支援が必要な状況にある。
そして阪急グループ。中核の阪急電鉄は業績堅調ながら、問題は阪急不動産をはじめとする不動産関連が想像以上に劣化していること。しかも阪急梅田駅再開発などでアングラ勢力に食い込まれているとされ、関西では「第2のイトマン」「西の武富士」などと揶揄する声もある。
ここ3、4年、阪急グループ首脳の経営姿勢を糾弾する怪文書が断続的に流されてきた。その間、電鉄の社長宅に銃弾が撃ち込まれたり、百貨店幹部の夫人が襲撃されたのをはじめ、爆破予告や脅迫電話などさまざまな嫌がらせを受けてきた。闇社会との間に何らかのトラブルが生じていると見て間違いない。
「電鉄本体が一昨年、阪急不動産を上場廃止にまでして完全子会社化し、さらに系列ゼネコンの森組の処理に二の足を踏んでいるのは、臭いものに蓋をするためではないか」(事情通)という穿った見方もある。
その実態が仮に白日の下に晒されるようなことになれば、阪急グループのみならず、2000億円以上の融資残があるUFJにとっても大きな痛手になりかねない。(後略)