記事(一部抜粋):2004年2月掲載

社会・文化

「OB切り」の決断をした国税庁

元熊本国税局長3人の「裏所得」を標的に

 昨年の通常国会で、民主党の河村たかし代議士は、大物国税OB税理士の「裏所得一覧表」をパネルにして公開、国税庁を慌てさせた。
 衝撃的だったのは、上位3氏の「裏所得」が4億円以上ととてつもなく高額だったこと。しかも、申告納税額から推定される所得は、これをはるかに下回るものだった。
 河村代議士は、「裏」の根拠を示したわけではない。したがって、氏名は明かさずパネルの表示もY、T、Kとイニシャルだったので、ここでもそれを踏襲したい。
 Y、T、Kの3氏はいずれも熊本国税局長の経験者である。同局長を最後に退官、税理士事務所を開設している。なぜ熊本国税局長なのか。国税庁OBがこう解説する。
「国税庁の職員は全国に5万7000人もいますが、その大半はノンキャリア。彼らの上に国税庁採用の庁キャリ、財務省採用の省キャリと呼ばれる幹部がいて、主要ポストを独占している。下積みを続けるノンキャリに用意された最高のポストが熊本国税局長であり、この地位に就いた者は、ノンキャリのドンと呼ばれるほどの権勢を振るうことになります」
 熊本国税局長は単なる栄誉職ではない。ノンキャリアにはキャリアの口に出せない領域があり、そのうちの一つがノンキャリア人事である。「ドン」は退任してからもしばらく国税庁ノンキャリア人事に影響力を行使する。(後略)

 

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