経 済
「みずほ=農中」提携の衝撃
郵貯を凌ぐ超メガバンクの誕生で金融再編はクライマックスへ
11月7日朝のNHKニュースで、「農林中央金庫(以下「農中」)が子会社の農中証券をみずほ証券に営業譲渡する」という報道が流された。比較的地味な農林系金融機関のそのまた子会社の話ということで、さほどニュースバリューなしと判断したのか、夕刊で追っかけ記事を載せなかった新聞社も多かった。
しかし、金融関係者の受け止め方は全く違う。
ある都銀関係者は言う。「証券子会社だけの話であることを祈るばかりだ。もし、これを機に、みずほフィナンシャルグループと農中とが全面提携ということになれば、その影響ははかり知れない。われわれも経営戦略を根本から見直さなければならない」
実際もし、みずほと農中が提携した場合、総資産200兆円に及ばんとする超メガバンクの登場であり、規模において郵貯に匹敵、資金運用力・人材の質など総合力においては郵貯をはるかに凌ぐこととなる。それどころか、日本の金融界そのものを根底から覆す衝撃を秘めている。
先の都銀関係者は続ける。「日本の金融機関をどう組み合わせても、みずほと農中を超える組み合わせは考えられない。もはや何をやっても追いつけない。そして何より怖いのは、背後に国の強い意思を感じることである」
確かに、株式会社のみずほと一種の特殊法人である農中が経営統合まで進むのは、現行法制下では困難な面もあろう。しかし、バックに国がついているのであれば、法律を手直しして対応ができる。現にここ20年にわたる金融制度改革は事実上、日本興業銀行(現みずほ)救済がその隠された真の目的であったのであるから。(後略)