記事(一部抜粋):2003年11月掲載

経 済

ダイエー解体のシナリオ

【情報源】

(前略)
 もはや一企業の問題を超越しており、政府も 「破綻処理」から「再生」へとスタンスを変えているだけに、法的整理、つまり倒産処理される可能性は極めて小さいと見るべきだろう。だとすれば、産業再生機構を活用し、スポンサーを探しながらの分割・解体以外に選択肢は見当たらない。そもそも再生機構は、設立前からダイエーを最大の目玉と位置づけてきた。
 囁かれている有力シナリオは、?米ウォルマートによる買収、?米リップルウッド、サーベラスなど投資グループによる買収、?丸紅・仏カルフール連合による買収、?グループの優良スーパー、マルエツによる逆さ統合、?三井物産など大手商社主導のスーパー再編、?イオン、イトーヨーカ堂による買収――など。中でも注目は、いまや国内三大スーパーの一角を占める米ウォルマートの動向だ。
 同社はすでに西友を傘下に収めているものの、業績は芳しくなく、対日戦略の練り直しを迫られている。再生機構の枠組の中で、ダイエーの総合スーパーの黒字店舗を買収し、小型スーパーについては西友との連携で相乗効果を狙うのではと見られている。「資金力と実績からみて、現時点ではウォルマートが最有力候補だ」(金融関係者)という。
 一方、興味深いのが総合商社による小売業界再編というシナリオだ。商社はすでにコンビニや食品卸業界の再編に乗り出しており、ダイエー解体を足がかりに、大掛かりな小売業界の再編でイニシアティブを握る思惑があるとも。「三井物産が、食品卸事業でウイークポイントをもつ住友商事や丸紅あたりと連合してダイエーを取り込む。ウォルマートとの部分提携も視野に入れる」(流通業界誌記者)といった具体的なスキームが取り沙汰されている。
 ホークスが優勝しようが歯止めのかからない業績悪化と社員のモラール低下、ダイエーの単独再生が不可能なことは衆目の一致するところだ。早ければ来春にも産業再生機構に入れて私的整理によって解体、という道を歩むことになりそうだ。(後略)

 

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