小泉再選が決まり、政府主導の株高・金融危機封じ込め策はさらに鮮明になっている。この九月中間決算も、話題といえば足利銀行など地銀処理ぐらいのもので、しばらくはこれまでのように不気味な静けさが続きそうだ。
そうした中、東京三菱銀行から流出した内部資料が、密かに金融界の関心を集めている。同行は問題取引先企業を再生・支援するプロジェクトチームを九月にスタートさせたが、その対象となる個別企業のリストがごく一部に漏れてしまったというのだ。関係者によると、プロジェクトチームは、大手・中堅企業一〇〇グループ・五〇〇社を扱うチームと、中小企業二五〇〇社を担当するチームに分かれており、その対象企業は「経営悪化企業五七企業グループ」「経営悪化予備軍三三企業グループ」「大口融資先二二企業グループ」の三つに分類されているという。
それにしても天下の東京三菱からの内部資料流出は珍しい。同行は犯人探しに躍起になっているらしい。
気になるリストの中身はというと、ニチメン、日商岩井、兼松、市田などの商社から、西武百貨店、東急百貨店、ナカノコーポレーション、東急建設、富士紡、ソフトバンクなど問題企業のオンパレード。そして金融関係者が最も注目するのが、「破綻懸念先」「要注意先」といった各々の債務者区分が克明に記されていること。これらの中で再生が困難と判断された企業については、いずれは債権をRCC(整理回収機構)に売却、あるいは支援を打ち切ることになる。(後略)