金融庁が公的資金を注入した大手銀、地銀、第二地銀に業務改善命令を発動したことで目下、金融界は大騒ぎだが、当面のターゲットとなるのは「メガバンクではなく地域金融機関」(金融庁関係者)。なかでも関係者の注目を集めているのが、足利銀行と福岡シティ銀行だ。とりわけオーバーバンキング状態の福岡を地盤とする福岡シティの去就は、九月中間決算の最大の目玉になりそう。
前期末の自己資本比率が五・二%にまで落ち込んだ同行にとって、最大の爆弾といわれるのが、事実上の系列デベロッパー、福岡地所の存在だ。同社は福岡シティの創業者一族肝煎りの会社で、ご多聞にもれずバブルにのめり込み深手を負った。有利子負債はグループ全体で二〇〇〇億円規模に達する。実質債務超過で死に体の同社グループに対する福岡シティの融資額は三〇〇億円を大きく超えるとみられ、引き当ても不十分だ。ほかにも約一二〇億円の融資があるダイエーの福岡事業、二〇〇〇億円の借入金を抱える系列の上々ノンバンク、九州リースサービスなど、難題は山積。二〇〇四年一〇月に予定されている西日本銀行との合併も、すんなりとは行きそうにない。
そこで囁かれているシナリオの一つが、なんとりそな銀行との合体説。(後略)