記事(一部抜粋):2003年7月掲載

社会・文化

追いつめられる「武富士」会長 

本誌が新たに入手した武井会長・肉声テープ

(前略)
 その武井会長の肉声が録音されているテープを今回、本誌は独自に入手した。誰が何の目的で録音したのか詳細は不明だが、会話の内容や関係者への取材結果などから、96年9月9日に録音されたものだと推定できる。
 その日の早朝、武井会長が当時、住まいにしていた「別宅」や、武富士本社に怪文書が送り付けられ、それが直前に退職していた前述の初代渉外部長、藤川氏の仕業に間違いないとして、武井会長と当時役員だったA氏(その後退任)が対応策を話し合っている場面だ。
 武井氏「全部、藤川ですね」
 A氏「そうです。間違いないです。きのうの夜、8時か8時半ころにIのところに藤川から電話がありまして、こういうことを言ったようです。最終的に腹をくくったと、それで警察に相談すると。そう言ったんで、Iは、おまえ、そんなことしちゃうと命ねら……それこそやられるぞと、バカなことするんじゃないと、こういったらしいんです。そうしたら藤川は、もう腹をくくっちゃったんで、正義が勝つかどうかだなどと、バカなことをいったようです」
 そして怪文書の中身に言及する場面ではこんな会話も。
 武井氏「やくざ、やくざと言ってるわけでしょ。静岡がどうのこうのとか。(略)何がくだらなかったっていうと、会長のためにT(関西系暴力団のフロント企業経営者)が一生懸命やってると。そっちの人じゃあ話がつかないと。そういうのありましたよね」
 A氏「具体的な名前はですねえ、私あの……」
 武井氏「だから、東の人じゃ話がつかんと。私には非常に具体的に書いてありました。(略)あまりにも生々しいんで……」(以上、会話内のイニシャルはテープでは実名)
 また「エス」(S)という隠語で呼ばれる人物に関する会話も交わされる。武富士関係者によると、このSとは、武富士とかつて顧問契約を結んていたブラックジャーナリスト、H氏のこと。「スパイ」の意味でSと呼んでいたという。
 そのH氏は武富士の顧問でありながら、自身が発行するファクス新聞に武富士を批判する記事を載せるなど執拗な攻撃を仕掛けていた。武富士は法的手段でこれに対抗するが、そうした最中の95年12月、H氏は何者かに襲撃されて重傷を負う。そして翌96年8月に死亡。
 テープの中で武井氏は、H氏襲撃に武富士が何ら関与していないことを強調。「誰がやったかはぜんぜん分からない」と、こう話している。
「どんなに憎らしいヤツだって、人を殺せとか、危害を加えろとか、絶対いいません。それをやったら外道ですから……」(後略)

 

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