記事(一部抜粋):2003年7月掲載

経 済

「物言う」株主嫌って自ら上場廃止

メガバンク公的資金注入は不可避

(前略)
 誰の目にも資本不足が明らかな銀行に目を転じると、資本に対する繰り延べ税金資産の比率が一〇〇%を超え、バランスシート上でも危険水域にある中央三井信託銀行の去就が注目される。もはや自力再生は難しく、はやくも「米シティグループが触手を伸ばしている」といった噂が飛び交っている。「ただし買収側の興味は信託部門だけ」(外資証券アナリスト)とあって、かなりの紆余曲折がありそうだ。
 信託部門といえば、りそなHD傘下のりそな信託銀行をめぐって、「住友信託には獲られたくないと、UFJが虎視眈々と狙っている」との見方が浮上。さらに、りそなHD傘下では比較的優良といわれる埼玉りそな銀行が、「グループから離脱して、地盤が同じ武蔵野銀行との連合、もしくは外資、さらには関東の有力地銀と合従連衡して首都圏リテールバンクを目指すのではないか」(金融関係者)との見方もある。
 今後は、「今回のりそなのように繰り延べ税金資産は三年分が定着する」(金融庁関係者)ことから、メガバンクへの公的資金投入がもはや避けられない。それゆえ予防的に公的資金を注入できる新法が浮上しているわけだが、メガバンクの自己資本比率は実質的には八%を割り込んでいるのだから、厳密には予防的とはいえない。それはともかく、危機の表面化を防ぐためには、東京三菱をのぞくみずほ、三井住友、UFJへの資金注入は不可欠であり、政府はこの秋の国会での新法成立を目論んでいる。(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】