記事(一部抜粋):2002年6月掲載

経 済

【企業研究】アイワイバンク銀行

収益性に疑問符、前途は多難

 4月上旬、東京国税局の税務調査で、大手広告代理店の東急エージェンシーが2001年3月期までの5年間で計約10億3000万円の申告漏れを指摘されていたことが明らかになった。申告漏れの大半が悪質な所得隠しと認定され、追徴課税額は重加算税などを含め約8億4000万円に達した。
 東急エージェンシーが、取引先を接待した際の飲食代やタクシー代を、課税対象にならない社内の打ち合わせ費用に見せかけ、経費として計上、本来は交際費にあたるものを虚偽の領収書を提出するなどして隠蔽したと、国税局は認定したのである。同社は昨年も、架空経費の計上で1億2000万円の所得を隠したと国税局から指摘を受けており、経費の水増し計上が恒常化している実態が浮き彫りになった格好だ。
 実は今、この東急エージェンシーの脱税に関して、「今回の一件には通りいっぺんの所得隠し以上の政財界スキャンダルが隠れている」(政界筋)との憶測がささやかれている。
 同社の脱税工作が表面化するのを待っていたかのように、1通の怪文書が永田町に流布された。そこには、「イトーヨーカ堂が東急エージェンシーを介して柳沢伯夫金融担当大臣に10億円の口利き料を提供していた」との内容が記されていた。東急エージェンシーが税務調査で指摘された申告漏れが10億3000万円、怪文書に書かれた柳沢大臣への口利き料が10億円。その奇妙な符合に永田町は色めき立った。
 事実なら小泉内閣を揺るがす一大スキャンダルである。野党を中心に、その裏取り作業が活発化したことはいうまでもなく、それは今なお続いている。怪文書の内容に信憑性を感じている者が現在もいる、ということである。(後略)

 

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