記事(一部抜粋):2002年6月掲載

政 治

小泉が狙う「抵抗勢力」分断戦略 

宥和策と伝家の宝刀「衆院解散」の使い分け

「1内閣1閣僚」の原則を掲げ、自民党内や公明党からの内閣改造の要求を退けてきた首相の小泉純一郎が、通常国会閉幕後の改造・党人事を前首相、森喜朗らに約束した。「要求を無視できなくなった」(小泉周辺)のは、国会に提出した重要法案が軒並み潰され、内閣の威信が地に落ちる懸念があるからだ。つまり自民党、公明党の国会運営への協力を取りつけるのが目的だ。ただ、小泉サイドは改造を機に反小泉勢力の包囲網を分断し、反転攻勢に出る戦略も練っている。
 小泉が約二時間の会談の末に、前首相の森喜朗、元官房長官の中川秀直の二人に内閣改造を約束したのは5月10日だった。東京・虎ノ門のホテルオークラ内の料亭「山里」に設けた席で、小泉はこう切り出した。
「郵政関連法案と健康保険改正法案、それに有事法制関連法案、この3つは何としても成立させたい。国会延長が必要なら、するしかない」
 森は「それには党内の不満の解消が必要だ。それには人事をやらなければだめだ」と持論を展開した。
 これまでの歴代自民党政権では、改造で浮上したケースと、失敗して力を弱めたケースの2つがある。しかし森の意見は、小泉政権には、もはや内閣改造で自民党内各派の要求を聞く見返りに、重要法案成立への協力を取りつける選択しかない、というものだった。(後略)

 

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