本誌2000年12月号に掲載した記事「『風説』に晒された武富士の因果」の記述をめぐって、武富士が本誌に1億円の損害賠償と謝罪広告を求めていた裁判で、東京地裁は3月13日、本誌に100万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
この判決を受け、武富士は翌14日、本誌に“勝訴した”旨のニュースリリースを報道各社に送付(ホームペーージにも同文書を掲載)した。(中略)これを読むかぎり、本誌記事は一連の「風説の流布」報道の一つにすぎず、記事の内容もまったく事実に反し、裁判では武富士の主張が全面的に認められたかのような印象を与えかねない。しかし実際には、裁判では本誌の主張が、一部を除いて概ね認められた。その意味で、武富士が発表したニュースリリースの内容は正確さに欠け、投資家をミスリードしかねない。
(中略)
詳しい記事内容はバックナンバーを参照していただくとして、武富士が問題にしたのは、次の二箇所の記述だった。
《ブローカー(武富士が外国金融機関から事業資金を調達する際の仲介役。記事では実名は秘した――編集部注)に支払われた巨額のコミッションについて、国税当局が多大な関心を示している》(便宜上、これを第一記事と呼ぶ)
《マスコミへの対応でも、フィクサー気取りの人物などが記事つぶしに動くなど、露骨な対応が顰蹙をかってきた。一部のミニコミに、武富士の広報担当が金銭の提供を申し出る実態を暴露されるなど、そのお粗末ぶりを露呈したこともある》(同、第二記事)
(中略)第一記事に関して、裁判所は武富士の主張を一蹴したわけだ。
そして第二記事の「記事つぶし云々」に関しても、判決文は、本誌が指摘した“フィクサー気取りの人物”が《原告(武富士)の意向を受けて被告(本誌)に対して原告に関する記事の掲載見送りを求めたものと推認される》としたうえで、《フィクサー気取りの人物などが記事つぶしに動いたという事実の主要部分については、それが真実であることが認められる》と本誌の主張を全面的に認めたのである。(後略)