景気浮揚のために公共工事を求める自民党の「抵抗勢力」の気勢をそぐような事件が、森の都、仙台で発覚した。
「せんだいメディアテーク、仙台市新葛岡斎場など仙台市発注の工事に政治家の元秘書らが関与。工事の一 三%を口利き料として受け取り、それを申告していなかったとして仙台国税局が査察に入っています。また、そうした裏ガネが政治家に回った疑いがあるとして、東京地検特捜部が内偵を始めました」(全国紙司法担当記者)
(中略)公共工事をできるだけ高く受注し、みんなで分け合うのは、この業界の宿痾のようなものらしい。詐欺師は詐欺を悪いことだとは考えない。逮捕されたら「運が悪い」という発想をする。公共工事に群がるゼネコンをはじめとする業者もまったく同じ。罪の意識がないから談合を繰り返す。
ただ、慎重にはなった。メンバーが「夜の集会所」と呼んでいた国分町の高級クラブに集まることはなくなった。「調整」の大半は目立たぬよう電話で済ませる。賄賂を受け取る政治家サイドも、役所に彼らを迎え入れるのはもちろん、接待を受けることもほとんどなくなった。
そんな変化を巧みに利用したのが、政治家の元秘書らである。仙台市議会関係者が、苦笑まじりにこう解説する。
「業者と政治家が直で金銭を授受するからまずい、というのが彼らの発想です。だから、そこに政界と業界の双方に顔の利く元秘書が介在し、口銭を受け取る。それを政治家に献金するのです。もちろん『口利き料』や『口銭』という名目ではなく、『コンサルタント料』『情報料』といった形で業者からカネを受け取る。でも、現役の秘書ではまずい。贈収賄の構図に引っ掛かってしまいます。だから、中央政界の大物代議士の秘書らが、現役を引退したことにして会社を興し、そこが事業として『調整』を行っている」
粗くはあるが、一見すると法の目をくぐり抜けているようにみえる。だが所詮は後ろめたい金銭の授受。いくら事業を気取っていても、すべてオープンにはできず、闇から闇へのカネの流れが発生する。検察が仙台国税局を使って、まず脱税容疑の査察から捜査を開始したのは、カネの流れを掴んだうえで、政界に駆け上がろうという思惑からだ。(後略)