記事(一部抜粋):2001年8月掲載

社会・文化

探偵業界「クーデター」で分かった癒着の構造

ドン解任で明るみになる「警察」とのただならぬ関係 

 これはある種のクーデターといえるかもしれない。
 調査業界、平たく言えば探偵の世界にも、業界団体がある。社団法人・日本調査業協会。警察庁所管の歴とした公益法人である。今年の春まで、同協会の会長だったのが越弘樹氏なる人物。下部団体の東京都調査業協会の会長も兼務する、探偵業界の実力者だった。その越氏が今年四月、東京都調査業協会の会長ポストを返上した。表向きは辞任の形をとってはいるが、事実上の解任である。
(中略)
「越氏はすでに会長を辞任しましたが、問題はさらに波及しそうです。この都協会の理事会以来、東京都だけではなく協会全体の不明朗な資金の流れが明るみになりつつあり、数億円単位のカネがどこかに消えている。探偵業界は警察OBの天下りが多く、問題は警察との業界の癒着問題にまで発展しそうな雲行きです」(協会関係者)
 さらに、こんな話まで飛び出している。
「財団法人日本調査業協会は、警察庁の監督の下で運営されているが、ここ数年、業界で探偵業に関連する法律の整備が重要テーマになっいた。というのも探偵は資格の必要もなく、身体一つあれば誰でも開業できる。そのため越氏はが警察官僚出身のある自民党代議士に、業法の設立を働きかけていました。実際、この代議士は国会で関連する質問を二回しており、その際に謝礼が渡っているのではないかと噂されている。しかも協会の不明朗な経理を調べていくと、ちょうど二度の国会質問のあった前後に、使途不明金が発生している。二度とも同じ五〇〇万円ずつ。偶然にしてはあまりにも出来すぎています」(同)

 

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