圧倒的な小泉人気は、参院選挙後も当分は続きそうだ。だが、日本経済はしばらく低迷状態から抜け出せそうになく、中小企業やゼネコンなどから悲鳴があがりつつある。改革路線をとる小泉政権は、「痛みの我慢」を国民に訴えている。自民党反主流派は国民の悲鳴を援軍に、政権の経済政策の柱、経済財政担当相である竹中平蔵の更迭を突破口として、秋の政局で小泉に打撃を与える戦略だ。人気と悲鳴のどちらが勝つか。それが政局を左右する。
(中略)
自民党内の野中広務ら橋本派や亀井静香ら反主流は、「参院選が終わったら、言いたいことを言う」と、小泉の改革路線に抵抗する構えをみせていた。しかし、「参院選の雰囲気をみれば、もう露骨な反対はできなくなった」と野中周辺も認める。小泉政権の景気対策に警鐘を鳴らす自民党政調会長の麻生太郎は、「自民党が六〇議席以上で勝ったら、もう改革に反対することはできない」と選挙中に言った。国民を裏切ることになるからだ。
選挙の動向に沿って亀井らの言い方も変わった。「純ちゃんの改革の欠点は、竹中平蔵のようないい加減な学者に経済をすべて任せていることだ」と、周囲に強調するようになた。つまり、改革に反対したり、経済対策に直接クレームをつけるのではなく、ターゲットを竹中に絞り攻撃し始めたのだ。
ちょうどその頃から、竹中をめぐる疑惑めいた話が一部の雑誌に書かれ、まことしやかな女性スキャンダルの噂も永田町に流れ始めた。最もはっきりした疑惑の一つは、七月下旬に店頭公開される日本マクドナルドの未公開株問題である。(後略)