(前略)
「第二の公共事業」と化したODAが長い間続いているのは、有力政治家、外務省、援助の推進機関、それに企業を含めた利権構造ががっちりできているからだ。その一例を、アフリカ・ケニアの「ソンドゥ・ミリウ水力発電事業」にみることができる。
この事業は、自民党の鈴木宗男代議士が深くからんでいることから、外務省内には「鈴木案件」と呼ぶ向きさえあるという。内外の非営利組織(NGO)が問題点を告発したため、国会でも取り上げられ、ハブとマングースの戦いといわれた田中外相と鈴木代議士の壮絶バトルでも触れられている。
(中略)
援助は相手国のためというより、不況にあえぐゼネコンなど日本企業のために行うものである実態を、この事実は示している。経営が悪化している鴻池組は、海外拠点を縮小してアフリカに事業を集中させており、この水力発電事業を続けられるかどうかは同社にとってきわめて重要だった。そして、鴻池組は鈴木代議士の有力な後援会企業の一つなのだ。現に、九九年、二〇〇〇年とも五〇万円ずつを鈴木代議士の資金管理団体に献金している。(後略)