ベルダレポート
これからの20年は今後12カ月の政府の政策で決まる
増幅する日本システムの危機参院選後に待つ「国民耐乏策」
先般、政府は銀行の不良債権処理策を発表した。その策定段階から、「企業を潰してもいいのか」という意見が多数聞かれ、不良債権問題が日本の構造問題であることを、あらためて認識させられた。
不良債権を本格的に処理するとなると、当然のことながら企業倒産の増加は避けられない。つまり、失業者の増大ということである。「不良債権処理=デフレ圧力」という構図だ。しかし、その影響は実体経済だけに出るわけではない。財政面でも大きな影響が出る。それは、たんに税収が減少する、という影響だけではすまない。
例えば、公的年金や公的健康保険といった社会保障。
厚生年金は、今年度から年金支給開始年齢が引き上げられた。それにも関わらず、左頁の図が示すように赤字転落の一歩手前となっている。もし、失業者が増大すれば、それによって保険料収入が減少し、来年度には赤字へ転落することが確実となってくる。年金の赤字転落は大きな社会問題になる可能性がある。
公的健康保険もそうだ。健康保険組合連合会によると、今後二年あまりで法定準備金が枯渇し、三四〇あまりの組合(全国で一七六六組合)が解散に追い込まれる公算がある。失業者が多発すれば、こうした傾向に拍車をかけることになる。
健康保険組合が解散されると、加入していた人は政府管掌健康保険に入ることになる。しかし、その政府管掌健康保険も極めて厳しい状況にある。厚生労働省によると、現在のまま推移すれば、同保険の積立金は二〇〇二年度には枯渇する。健康保険組合から加入者が流入してくれば、ますます政府管掌健康保険はさらに悪化する。(後略)