記事(一部抜粋):2001年4月掲載

ベルダレポート

平均株価1万2000円割れも本格下落の序曲にすぎない

世界最大の投機相場の崩壊に戦く

 三月中旬、日経平均株価は一万一〇〇〇円台に急落し、一九八五年一月以来、約一六年ぶりの水準に落ち込んだ。前号本欄で指摘したように、ここまで下落しても、底値感がでないのは経済実体から判断して依然割高だからだ。一株当たりの予想利益で株価を割った株価収益率(P/E)は三〇倍台と、米国S&P500の二〇倍、英国FT100の一八倍と世界の主要市場の株価と比較しても依然高い。ただ、最高値から六〇%以上暴落した米ナスダック総合指数は依然五〇倍台と異常に高く、日本の株価と同様、さらに下落余地を残しているのが不気味だ。
 現在と同じように株価が一万二〇〇〇円台に下落したのが九八年一〇月。その後、金融再生法の成立によ政策などの経済政策による信用の回復で株価は上向いていくが、基本的には景気が回復過程に入っていたことが株価上昇力を強めたのである。
 機械受注と鉱工業生産の前年比伸び率は九八年五月を最低に急回復の途上にあり、企業収益も九八年四−六月期に底入れしていた。さらに、一〇−一二月期を底に緩やかに回復していることからも景気の反転を裏付けていたといえる。
 こうした、信用や景気の変化を敏感に感じ取った外国人の買いを先導に、個人の信用取引が加わり、平均株価は二〇〇〇年二月には二万円台に乗せた。個人はあくまでも現物では売り越しで、六カ月後には反対売買をせざるをえない信用取引にのめり込んでいった。九八年一〇月には七〇〇〇億円台に激減していた信用買残は昨年三月には五兆円弱へと急増した。
(後略)

 

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