前月号で紹介した「国家資格試験を独占的に実施する指定法人」の実態について、ケーススタディを続けよう。
厚生労働省(旧厚生省)所管の財団法人「医療機器センター」は、一九八八年三月に厚生大臣の指定試験機関の指定を受けて以来、臨床工学技士の国家試験の実施事務を行う唯一の公益法人だ。臨床工学技工法第十七条(資料?)が指定の根拠とされる法律だが、この法自体、同財団が指定を受ける前年の八七年六月に公布され、施行時(八八年四月)には財団はすでに指定を受けていたから、同国家試験を実施させる公益法人として同財団が当初からビルトインされていたと考えるのが妥当だ。同第十七条4には「公益法人以外の申請者を指定試験機関に指定してはならない」旨明記してある。
こうして厚生省の指定に先立ち、前身の「医療技術研究開発財団」(七一年設立)は改編され、新しい財団「医療機器センター」が厚生省の設置した医療機器懇談会の中間報告の提言を受け、発足している(八五年六月)。初代理事長には宇都宮敏男・東大名誉教授(現会長)が就任した。設立趣意書には、「医療の中で医療機器の果たす役割は極めて大きなものとなっている」とし、「厚生行政との密接な連携の下で総合的な対策を推進していく必要があり、設立に至った」旨強調している。
要するに、臨床工学技士の国家試験を同財団に独占的に実施させるシナリオづくりを厚生省が進めたのである。
(後略)