ベルダレポート
内閣官房と外務省が握る「機密費」の呆れた実態
流用疑惑で浮上した税金72億円の「何でもあり」の使い道
官房長官秘書官を経験したことのある自民党大物政治家の元秘書が、外務省幹部による機密費(正式には報奨費)流用問題についてあきれたようにこう言う。
「外務省も内閣官房も領収書なしの機密費を持つ。それを使える立場になれば、誰だって“流用”するよ。仲間内の飲み食いはもちろん、生活費にだって充てる。問題になっている松尾(克俊元要人外国訪問支援室長)は、度が過ぎていたというだけ。外務省は事件をどう収拾するかで頭が痛いんじゃないか」
機密費を自分の銀行口座に入れ、そこから外遊の際に使われる首相や随行団の経費、外国首脳への贈答品代などをクレジットカードなどで支払うとともに、かなりの部分を自分の生活費や遊興費に回していたという松尾元室長の機密費流用問題は、今のところ“個人犯罪”という形で報道されている。
しかし、使途を問われない機密費を扱えるのは松尾元室長一人だけではないのだ。
外務省で、政治家やキャリア官僚の外交活動を、宿舎や航空機の手配から土産品の選定に至るまで、細かくフォローするのは「ロジ畑」のノンキャリアである。ロジ畑とは、武器や糧食を前線に送り込むロジスティックス(兵站業務)という軍事用語を語源とする外務省の隠語だ。外務省にこのロジ畑が多く存在する中で、果して誘惑にかられたのは本当に松尾元室長だけなのだろうか。 さらに、キャリア官僚の中にも過去に機密費を流用していたと指摘された人がいる。外交政策局で課長を務めるS氏は、四年前に『週刊ポスト』で、向島の料亭や銀座のクラブなどで開いた外務官僚たちの内輪の宴席や、ホテルニューオータニでのお子様ランチ代、個人的なゴルフ練習場の代金まで機密費で支払っていると、S氏が精算した領収書をもとに攻撃された。
また、外交機密費にたかっているのは外務官僚だけではない。(後略)