記事(一部抜粋):2001年1月掲載

社会・文化

終結は早すぎる「信用保証」不正事件

通産大臣まで口利きに奔走

 泰山鳴動して鼠一匹とはこのことか。今年春から東京地検特捜部が捜査を続けてきた中小企業向け融資制度の出資法違反事件。いわゆる「信用保証協会事件」の捜査が事実上終結した。(中略)10月、特捜部は経営コンサルタント会社「原経営研究所」の原潔代表ら六人のブローカーを逮捕したのを皮切りに、都議会公明党の原環都議などを捜査。融資に公明党や創価学会が深く関与していた疑惑が浮上し、事件は大きな広がりを見せると思われた。原代表は創価大学の三期生で、創価学会の実力副会長とされる野崎功氏の実兄、野崎至亮元教学副部長の門下生だったという。経営コンサルタントを始めたのは七年前だが、以前は学会と関係の深い旅行代理店を経営していた。
(中略)
 信用保証協会の融資制度では、特捜部が押収した資料から自民党や公明党の国会議員の関与も囁かれた。
 そのうちの一人がA元通産大臣だ。A氏はそもそもがこの中小企業向け融資制度の推進役。制度が導入された昨年10月の閣議後の記者会見では、当時20兆円となっていた保証枠について、「貸し渋りは一時に比べて改善しているが、まだ中小企業の資金需要に民間金融機関が十分に対応できる状況にはなっていない。もっと増やすべきだ。その金額は政府が用意する」と発言。事実、融資枠は20兆円から30兆円と10兆円も膨らんだ。
(中略)
 ここに二通の契約書の写しがある。いずれも「基本業務委託契約書」と横書きで書かれたA4サイズのコピーで、日付は昨年11月。都内の中小企業が信用保証協会の債務保証取り付けるを、ブローカーへ委託した時の契約書だという。
 融資の斡旋依頼を受けたのは、有限会社X社。通常の契約書と同様、「甲」と「乙」という形で記載されている。2通とも依頼主の中小企業が甲でX社が乙(後略)

 

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