記事(一部抜粋):2001年1月掲載

経 済

【企業研究】マツモトキヨシ

拡大路線に陰り、弱まる収益の足腰

 急成長を続けていたドラッグストア最大手のマツモトキヨシに限界説が取り沙汰され始めた。直接的には今期九月中間決算の内容からきている。二〇〇〇年九月中間は単体で、売り上げ一一三七億円(前年同期比一四%増)、経常利益四五億八〇〇〇万円(同八%減)、減益とはいえ、いまだ高水準の利益体質を持っているが、この半期で七八店舗の新規出店があったことを考えれば、増収は当然。それに対して、既存店の売り上げは二%ダウンしている。さらに新規採用と広告宣伝費など販管費の増加と、競争激化で販売価格を引き下げたことによる粗利益率の低下などが重なって、大幅減益を余儀なくされた。通期でも苦戦は続き経常減益となる見通しだ。利益率の低下は一過性のものではなく、構造的な問題と考えられたためだ。 一般にこの種のチェーン小売りでは、店舗が増えれば売り上げも大きく上積みされる。むろんその新規出店コストが利益を圧迫するが、それを吸収して売り上げが増えるもの。しかもマツキヨの場合は関東圏では抜群の知名度があって、出店即人気化が相次ぎ、出店コストなどものともしない勢いがあった。しかし、今回のケースでは既存店の売り上げがダウンしていることが問題で、それは収益の足腰が弱まっているということだ。
「会社側では一〇〇円ショップの出店増の影響を受けたと減益の原因を説明していましたが、それ以上にチェーンオペレーションという基本をなおざりに、拡大に突っ走ったツケが回ってきたのではないか」(業界紙記者)
 もともと利益率の高かった薬粧品を値引きして販売することで伸びてきた業態だっただけに、競争激化でも基本的な高収益体質は変わらないはずで、減益の根幹には「放置してきた高コスト体質」(同)が露呈し始めたといえるだろう。
(後略)

 

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