記事(一部抜粋):2001年1月掲載

ベルダレポート

過大な幻想が急速に剥落米国に「ITの黄昏」が迫る

米国の電子商取引が小売販売に占める比率はたったの〇・七%

 米大統領選は約一カ月に渡る混乱の末、ブッシュ新大統領の誕生で決着したが、圧倒的な支持を受けたとはいえない新大統領の難題になるのが、減速傾向のはっきりしている米景気の行方だ。特に情報技術(IT)ビジネスへの過大な幻想が急速に剥落していることは、景気に想像以上の影響をもたらす可能性がある。ネットビジネスの行き詰まりが目立ち、消費者の熱も冷めだしている中で、好景気を謳歌してきた米国に「ITの黄昏」がひたひたと迫っている。 一時はニューヨーク市場の寵児だったドット・コム企業の廃業は一九九九年暮れ頃から目立ち始め、オンライン玩具販売の「トイズマート」やビデオチェーン大手ハリウッドエンタテインメントの経営する「リール・コム」が廃業に追い込まれた。ネット企業の人員
 削減はことし春ごろまでは、業界全体で月数百人どまりだったが、一一月は約八八〇〇人と過去最大を記録。年間でも三万人以上が削減される見通しだ。背景に、ニューヨーク市場でのハイテク株の下落があるのはもちろんだが、そもそもネットを通じて何かするというビジネススタイル自体がかなり厳しく問い直されているのが実態だ。
 斬新なビジネスとされた試みが次々と挫折しているのも目立つ。
 ネットを通じた航空券販売で名を売った「プライスライン・ドット・コム」がその代表だ。同社の株価はピーク時の一四〇ドルからわずか二ドル台まで暴落。シティバンクから移籍した腕利きの女性副社長は辞任し、ソフトバンクと提携して日本に進出する計画も中止に追い込まれた。

 

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