記事(一部抜粋):2001年1月掲載

ベルダレポート

「将来不安」が投資に走らせるネット企業の底の浅さ

今日の最新技術が明日には陳腐化するという恐怖

 インターネット上で仮想商店街の「楽天市場」を運営する楽天が、ネット検索大手のインフォシークを買収し、完全子会社化するというニュースは、ネット関連業界から驚きの声で迎えられた。
「ネット検索の最大手はいうまでもなくヤフーです。一人勝ちが当たり前のネット業界にあって、ヤフーに破れたインフォシークを九〇億円も出して手に入れる必要があるのか。楽天はネット関連企業のなかでは『勝ち組』と見られているんですが、出店数が伸び悩み、出店料がタダというライバルが続々と誕生するなか、焦っている印象ですね」(インターネットプロバイダー会社幹部)
 楽天と言えば、その“看板”は三木谷浩史社長である。一橋大を卒業後、日本興業銀行に入行、ハーバード大学でMBAを取得。銀行員時代にM&Aを担当していたことからソフトバンクの孫正義社長のM&A戦略を手伝うよになり、ネット社会の到来を確信、一九九六年に興銀を退職して楽天を設立した。
 ダイヤルQ2のアダルト番組で財を築き、それをもとにネット業界に進出したというクセのある起業家か、趣味がパソコンという技術オタク系のベンチャー経営者の多いネット関連業界にあって、三木谷氏の“華麗なる経歴”は、マスコミにも既存の産業界にも好意的に受け入れられた。おそらくネットベンチャーの経営者のなかで、二○○○年を通して露出度は一番だったろう。
 米国シリコンバレーからビジネスモデルだけを“拝借”し、公開益を狙う軽佻浮薄なネット関連の若手経営者とは一線を画すと見られていた三木谷氏だが、ここ半年ほどは「勝ち組」のイメージを保つために神経をすり減らしていたという。
(後略)

 

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