記事(一部抜粋):2000年11月掲載

経 済

【企業研究】問題ノンバンク

債務超過オリコの闇

 第一勧銀から流出したオリエントコーポレーションに対する同行の自己査定資料は、オリコが《過去の事業金融部門を中心に多額の含み損》を抱えているとして、具体的に九九年三月期の時点で事業貸付金に五四五一億円、不動産に一八一五億円、投資有価証券に二〇〇億円の合わせて七四六六億円の含み損が発生していると指摘。その結果、同社の自己資本は九九年三月時点で四七三七億円のマイナス(オリコの発表では二七二九億円のプラス)と試算している。また、《実質債務超過の要因は、既に撤退している事業金融部門の含み損によるもの…》と、オリコの金融子会社にまだ処理されていない不良債権が眠り続けている可能性をも、内部資料は指摘している。
 内部資料が暗示する「未だ処理しきれていない巨額の含み損」について、オリコは「ありえない」という趣旨の説明をしている。しかし組合委員長経験者ら中核部隊が入り込み、オリコの経営実態を詳細に把握しているはずの第一勧銀が作成した資料が「四〇〇〇億円超の債務超過」と判定している事実は重い。内部資料が弾き出したオリコの含み損は、どこに隠されているのだろうか。
 関係者の間で注目されているのは、オリコが設立した特定目的会社(SPC)の存在だ。オリコショップ、オリコショップ・シリーズ・ツー、オリコショップ・バージョン・スリー、オリコショップ・アリエスなど、確認できただけでも数社のSPCがある。
 気になるのは、こうしたSPCへの資産の移し替えが、「体のいい“飛ばし”ではないか」と一部で囁かれていることだ。

 

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