記事(一部抜粋):2000年11月掲載

ベルダレポート

検察と呼応する報道に亀井静香の疑心暗鬼

丸裸にした「Kファイル」がマスコミにバラ撒かれ

 亀井静香・自民党政調会長が獅子奮迅の活躍を見せている。「債権放棄」による再建が決まった大手百貨店そごうの山田恭一社長(当時)に電話をかけ、「債権放棄要請を取り下げて欲しい」と説得、倒産の道を選ばせたのはこの人だった。言葉を選びながらも、自民党実力者の意向をかさにきた物言いであったことは、その後に暴露された二人の「会話記録」が物語っている。電話を受けた山田氏は、亀井氏の言葉を“恫喝”と受け取っただろう。
 景気対策を最優先課題とする森喜朗首相の意向を汲んで、「事業規模10兆円を超える補正予算が必要だ」と、ぶち上げて公共投資頼みの土建業界から“喝采”を浴びたのもこの人である。この発言を受けて米格付け会社ムーディーズは、日本国債の格付けをワンランク引き下げて「Aa2」にした。「その場しのぎの政策はよくない。長期金利が上がって借金返済が重く国民にのしかかる」と、批判した加藤紘一氏に対して、亀井氏は「どこがその場しのぎか」と噛みついた。
 もともと亀井氏は、中曾根康弘元首相に似た「風見鶏」である。国民の意や政治の流れをいち早く察知して、変幻自在に主張を変える。かつては公明党批判の急先鋒でありながら、いまや自保公路線の“守護神”と化している。その変節は、政治家にとって致命傷にもなりかねないが、強気、強面でいながら茶目っ気もあるという独特のキャラクターが、亀井批判を封じ込める。
(後略)

 

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