記事(一部抜粋):2000年11月掲載

ベルダレポート

すでに景気の山は越えた日本経済の危機「本番」へ

ITなどと悠長な議論に耽っている場合ではない

 今年二月をピークに調整している東証株価指数は年初来安値を更新し、ミニバブルが破裂しつつある。米国株式市場の低迷が影響しているという決まりきった解釈がなされているが、主因はファンダメンタルズを無視した昨年以降の上昇が、遅ればせながら経済実体に収斂しているだけなのだ。IT情報技術)の夢を限りなく膨らませ、投資ではなく投機が優位になり、美人投票が極限まで行われた結末と考えられる。
 経済企画庁は七月、「一九九九年四月を底に景気は回復している」と言い、日銀も八月、「デフレ懸念が払拭できた」とゼロ金利を解除した。これが本当なら、日本経済の経済拡大はこの一一月で一九カ月目に入ることになる。が、私たち国民の実感としては「景気がいい」とはついぞ思えないのだが……。
 そして国民のこの実感を現実化したのが今回の株価下落であり、日本経済は今、株価と実体経済が相互に作用し合うという悪循環に陥りつつある。景気の短期波動はピークに接近しており、近々、景気は落ち込むことになりそうだ。
(後略)

 

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