三菱信託銀行などからの利益供与問題で委員長が交代したばかりの金融再生委員会で、またぞろ疑惑が発覚した。疑惑の主は、同委員会総括政務次官である宮本一三代議士(六八歳)。名古屋を舞台にした脱税事件に絡んで、宮本代議士が名古屋国税局の幹部に圧力をかけ、謝礼として現金を受け取っていたのではないかという疑惑だ。折りしも、開会された臨時国会では斡旋利得罪の成立が審議されている真っ最中。当の宮本代議士側は疑惑を真っ向から否定しているものの、相次ぐ金融行政当局の不祥事に政府・与党の中にも衝撃が走っている。
疑惑の発端は、今から四年前の一九九六年秋。所得税法違反(脱税)容疑で名古屋国税局から強制調査(査察)を受け、同容疑で名古屋地検特捜部から追及を受けていた名古屋市の元会社役員(三六歳)が、知人の大阪市の建設会社社長(七三歳)を通じて、国税局への刑事告発を回避するべく、宮本代議士に圧力工作を依頼したというもの。
「その依頼に応じて、宮本代議士は九六年九月と十月の二回、当時の名古屋国税局の査察部長に直接、電話して捜査状況を問い質したり、告発対象者であるその元会社役員と面会するよう依頼したというのです。しかも、その謝礼として三〇〇〇万円の金を仲介の建設会社社長に渡したという話を、他でもないその元会社役員が一部マスコミに証言しています。仮にこれがすべて事実だとすれば、国税幹部に対して告発回避を働きかけ、謝礼を受けとっていたという構図になり、斡旋収賄が成立する。金融再生委員会ばかりか、森政権自体にとって大打撃になるでしょう」(社会部デスク)
(後略)