日本生命vs東京海上の二強が軸に【金融ジャーナリスト匿名座談会】
A 第一生命と安田火災の提携で浮き彫りになったことがある。それは、現時点での生保と損保の提携には、お互いが子会社を通じて相互参入したことの敗戦処理の意味合いがあるということだ。生保の損保子会社、損保の生保子会社のほとんどが深刻な経営不振に喘いでいる。銀行と証券の相互参入でもそうだったが、中途半端な参入条件の下では片肺飛行を余儀なくされるので、経営が立ち行かない。結局、銀行の証券子会社も、興銀の興銀証券など一部の例外を除けば、すべてが実質的には赤字。一連の銀行統合によって、子会社再編の名の下に処理される運命だ。それと同じことが生損保提携でも起き出したということだろう。
B 最大の焦点はやはり、日本生命がこの先どう動くかだね。日生は、伊藤助成会長の院政が終わり、宇野郁夫社長の時代になっている。宇野氏は反主流派を抑えて、ようやく社内の土台固めを終えた段階。ずいぶんと時間がかかったが、とにかく宇野体制が完成した。ベクトルが一つにまとまっただけに、これまでの動きの鈍さがどう変わるか。東京海上、朝日生命、日動火災の提携が、日生が動きだす契機になる可能性はある。
C 日生は、さくら銀行とローン会社で提携した。しかし、日生関係者にいわせると、あれは本格提携とは違うという。日生はそもそも、都銀ではさくらよりも三和銀行と近い。その三和は東海銀行、東洋信託銀行と統合し、大同生命、太陽生命とも手を結んだ。しかし、だからといって日生に接近する余地がなくなったというわけでもない。
A 日生と損保の関係はどうだろう。銀行再編の煽りを受けて、損保の再編も進んでおり、日生にとって無条件で手を結べる相手は少なくなっているようだが。
C 日生は、商品開発力、販売力のいずれでも他社を引き離している。だから、なかなか合従連衡へのインセンティブが沸かない。しかし、銀行の保険販売が解禁されれば話は違ってくる。仮に、明治生命が今回の東京海上問題で三菱グループ統合に躊躇し続けると、東京三菱は強烈なラブコールを日生に送るかもしれない。それはそれで面白いことになる。B またぞろ「東京三菱、日生、野村の強者連合」といった話が飛び交ったりしてね(笑)。
(後略)