公共事業をめぐる建設利権話は今に始まったことではないが、これだけ二転三転したケースも珍しい。
長年もめ続けた沖縄県の新石垣空港問題が、ようやく決着をみようとしている。同空港建設では、過去二〇年間にわたり、五つの建設候補地が争ってきたが、この四月、沖縄県はそのうち、「カラ岳陸上案」と呼ばれる土地への新空港建設を決定した。だが、案の定と言うべきか、この候補地選定をめぐって、またしても政治家がらみの利権疑惑が浮上している。
そもそも新石垣空港の建設計画は、一九七二年、沖縄県の本土復帰とともにスタートした。当時から、県は「本土の他府県並みの施設づくり」というスローガンを掲げ、社会資本整備に取り組んできた。政府も「沖縄県復帰特別措置法」を制定し、資金面などでバックアップ。新石垣空港建設が閣議決定されたのである。
それを受けた当時の屋良朝苗・沖縄県知事が建設候補地の選定を開始。当時の案としては、暫定空港の拡張という方法も検討されたが、新たな空港建設地として、?冨崎野地区、?宮良川地区、?白保海上地区、?白保陸上地区、?カラ岳地区――という五つの候補地が選ばれた。
七八年一二月、西銘順治知事時代に、これら候補地の中から、白保海上案に建設地を決定。海を埋め立てて空港を建設しようとしたが、漁業補償問題で現地の八重山漁協や地元漁民との間の交渉が決裂し、係争になった。そこへサンゴ礁保護などの自然環境問題が加わって、国会や国際自然保護連合(IUCN)をも巻き込んだことから、計画は結局頓挫してしまう。
仕方なく八九年年、当時の西銘知事が、空港建設の所管省庁である運輸省や環境庁と協議の結果、空港建設予定地をカラ岳東海上地域へと変更。しかし、これも思うように計画は進まなかった。このあたりから、土地を巡るきな臭い話が出てくるのだ。(後略)