バブル景気に酔った金融機関が経営危機を招き、大手、中小を問わず破綻したのは周知の通り。債権が不良化した背景事情はそれぞれ異なるが、では、千代田生命における事情とは何だったのか。
実は、その特徴を示す上で興味深い事実が最近になって明らかになった。六月三〇日、東京地検特捜部が中尾栄一元建設相を受託収賄の容疑で逮捕した。この事件に関連して、中尾は贈賄側の石橋産業が東京・向島の料亭で設けた大臣就任の宴席に顔を出したが、そこに千代田生命の神崎安太郎会長(当時)を始め、数人の同社役員が同席していたというのである。「その宴席に出席していた福本邦雄という人物が千代田生命にとってのVIPだったのです。福本氏に声をかけられて出向いたのでしょう」
千代田と福本との関係は、およそを十五年ほど前に遡る。