A 『月刊現代』で作家の高杉良が、みずほ統合に至る経緯を綴ったドキュメント小説を連載しているけど、その八月号で、この座談会の内容が紹介されている。三行統合問題をいち早く論じた当欄の記事が、各行の関係者に少なからず波紋を投げかけた経緯が描かれているわけだけど、三行統合の可能性をもっとも早く指摘したのは確かに我々だし、ゴール間際の滑り込みセーフでも新聞協会賞をもらえるような巨大マスコミとは無関係な身の上だから、あんなふうに取り上げてもらえるのは、正直うれしいね。
B 「一勧・富士連合に興銀が参画」と打った本誌が発売されたのが、昨年の七月下旬。それからマスコミの動きが激しくなり、八月一七日の朝、第一勧銀と富士には新聞、通信社が張りついて、それを追うように某新聞社が興銀に張りついた。それで三行は、記者発表を一週間早めざるを得なくなった。バタバタの一日だったね。
C 大騒ぎは大手マスコミの仕事。我々は残念ながら、そういう場面では役がない。その意味でも、高杉良には感謝したい気分だね。
A さて本題に入ろうか。とにかく、みずほの統合発表から一年が経過したわけだけど、現実は理想のようにいかないという意味では予想どおりの一年だった。みずほ内部のギクシャク感は一向に解消できていないし、その後に続いた他のメガバンクも同様だ。
B 問題はこれからの一年、いや半年だろう。その間に、この国の金融ビジネスの分水嶺がやってくるのではないか。よくよく見極めないといけない。
(後略)