記事(一部抜粋):2000年9月掲載

ベルダレポート

日本経済「10年間ゼロ成長」を覚悟せよ

マスコミが伝えない「名目GDP」2年連続マイナスという異常事態

 不良資産という病巣は、小売業やゼネコンなどの企業だけでなく家計をも蝕んでいる日本経済最大の問題だ。病巣はすでに相当奥深いところに達しているが、放置しておけば、さらに芯のところに向かって進行していくであろう。初期の段階で適切な治療をしていれば、痛み、精神的苦痛さらに出費も小額ですんだものを、治療せず長期間放置していたため、内部にメスを入れ、腐敗した患部を摘出する大手術をしなければならないほど悪化している。
 IT(情報技術)革命などと浮かれて楽観的に日本経済の将来を展望しているエコノミストもいるが、病巣に根本的治療を施さなければ、向こう一〇年間の経済成長率はゼロになり、長期停滞に陥ることは必至だ。
 日本の経済成長率は一九六〇年代をピークに急速に鈍化しており(表?参照)、バブル崩壊後の九〇年代は、三〇〇兆円程度と予測される不良資産が予測以上に成長率を引き下げたことは間違いない。この巨額不良資産の処理は、ほとんど手付かずのまま二〇〇〇年に引き継がれたのである。不良資産の重荷を背負った状態では走り出すことはできず、日本経済は現状を維持するのが精一杯だと考えられる。(後略)

 

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