記事(一部抜粋):2000年8月掲載

ベルダレポート

ボロ株でしこたま儲ける「現代の仕手株」の手口

弁護士・会計士とチーム組み、巧妙に仕掛ける

 最近、加藤 、中江滋樹のようなカリスマ的仕手の噂をほとんど聞かない。彼らはマーケットをおもちゃにするワルではあるが、欲望に目をギラつかせて参戦する投資家にとっては、マーケットに刺激を与え、一攫千金の夢を見させてくれる“必要悪”であった。
 タネ玉と数百億円のタネ銭を用意、仲間をつのり、証券外務員や「メモ屋」と呼ばれる情報通をうまく操りながら、狙った株を高騰させる。政治家の選挙資金になるという政治銘柄も合わせ、仕手筋の手法にそれほど大きな違いはなく、明確な仕手株であることが判明、そのメンバーが明らかになる頃には相場は終わり、「ちょうちん」をつけた投資家の“死体の山”が築かれるのが常だった。
 カリスマ不在の今、かつてのような仕手株相場が形成されることはほとんどない。しかし、マーケットによこしまな夢を抱く投資家が存在する限り、仕手株がなくなることはない。そして、現在、巧妙な仕掛けによる仕手株相場が、予想をはるかに上回るペースの規模と量で形成されている。
「中外鉱業、エフアール、豊国産業、昭和ゴム、エスコム、ジャパンオークションシステムズなどの小型の店頭や二部上場の株で、仕手相場が演出されています。特徴は、いきなり相場が始まるわけではないこと。その前段として、仕手勢力は、そうした企業に第三者割当増資や私募CB(転換社債)を発行させ、それを引き受けて大株主となり、経営に参画するか、事業計画に深く関与する形を取ったうえで、相場を築きあげるのです」(証券会社幹部)
 会社のまったく預かり知らぬところで買い占めが行われるのがこれまでの仕手株だった。コスモポリタンの池田保次、コーリンの小谷光浩といったバブル期の仕手は、そうやっていきなり大株主に躍り出て、株主の権利を主張、「敵対的M&A」を標榜したものの、結局は企業経営のノウハウがないまま、乗っ取りに失敗、破れ去った。
(後略)

 

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