記事(一部抜粋):2000年6月掲載

社会・文化

日債銀「残党」の呆れた債務処理

異例の「指定業者制」で管財物件売却

 あの金融危機からはや一年。日本長期信用銀行に続いて破綻した日本債券信用銀行も、ソフトバンクの孫正義代表たにちよって買収されることになった。
 一方、かつてあれだけ問題になった日債銀の不良債権は、いまやすっかり忘れ去られた感がある。そんな折、同行の不良債権処理をめぐって新たな問題が発生している。不良債権の受け皿会社が抱える担保不動産の処理方法が、どうにも不透明だというのだ。
 バブル当時、日債銀が不動産融資にのめり込み、得体の知れない地上げ屋から暴力団まがいの企業にいたるまで、イケイケドンドンで貸し付けていった経緯については、これまで何度となく報じられてきたとおりである。もちろん、それら地上げ屋の類の企業は軒並み倒産状態となり、融資したカネは回収不能。一方で、日債銀は自らの系列下にある不動産会社にも湯水のように資金を注ぎみ、これまた大半を焦げ付かせた。そうした無謀な融資の発覚を恐れ、数十社のペーパーカンパニーを駆使して不良債権飛ばしを図ってきたのも周知のとおりだ。
 そうした不良債権飛ばしの受け皿会社の中に、東明地所やフォルスというダミー会社があった。両社とも代表は上村賢司(五八歳)。一九六〇年に日債銀に入行し、その後、かつて話題に上った日本地所や九段開発などへ出向。九八年九月、両社の代表に就任した。
 現在、フォルスはかろうじてビルの賃貸などの業務を細々と続けているものの、東明地所の方は日債銀の一時国有化を受けてすでに倒産。同社は、日債銀系ダミー会社八社のうちの一社とされ、昨年七月、東京地裁から破産宣告を受けている。参考までに、このダミー会社八社の負債総額は三〇〇〇億円に上っている。
 国有化後、日債銀およびその系列会社の債権は、いったん債権整理回収機構(通称RCC)へ移され、不動産案件などの実務は管財人とRCCが合議の上、処理されることになった。つまり、ビルや土地を売却しながら、国が負担した損失の穴埋めを図っていくというわけで、倒産した東明地所の場合も当然、破産管財人がRCCと協力して債務処理を担うことになった。
 管財物件の売却は、裁判所に競売を申し立て、入札を待つ、というプロセスが一般的だが、東明地所の管財人は、なぜかそうした方法を取らなかった。
 ある日債銀の関係者が言う。
(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】