記事(一部抜粋):2000年6月掲載

経 済

いよいよ窮地に立つソフトバンク暗礁に乗り上げる日債銀買収、北尾常務辞任説も

【金融ジャーナリスト匿名座談会】

A ここにきて株価の息切れ感が激しいね。日経平均株価は一万六〇〇〇円台をキープするのも難しくなりそうだ。このままだと個人の株式投資ブームも惨澹たる結果になりかねない
B まったくだね。昨年春以後、大手銀行への公的資金投入や日銀のゼロ金利政策、そして保証協会による特別保証枠などでカネ余りが発生し、行き場のなくなったカネが株式市場へ流れ込んだ。結果、株価が上がったわけだ。
C そうしたタイミングで、誰か知らぬが火をつけたのがネット関連銘柄人気だ。それと店頭銘柄の暴騰劇。これで株式投資ブームがあっという間に個人投資家に広がった。しかし、そのネットバブルも、光通信のノックダウンであえなく頓挫しかかっている。
A ネットバブルは相場に咲いた徒花だから、もともと長持ちするわけがない。かといってネット人気失速の影響は決して軽くない。ネット銘柄を大枚はたいて買った投資家が損失を抱えてしまっただけでなく、投資信託も大きな問題だ。この間に設定された大型株式投信はネット銘柄をかなり組み入れている。それも高値で買っているから大変だ。
B ファンドマネジャーの多くは当初、ネット銘柄が値上がりした際、「これは危ない」と判断して購入を手控えた。ところがネット銘柄はその後も上がり続けたので、しまいにファンドマネジャーも我慢できなくなって買ってしまった。つまり、投信の多くはネット株を高値づかみしている。この処理は容易でないだろう。
C 時価評価の時代を迎える中で、投信がこの局面をどう乗り切るかが焦点だ。しかも確定拠出型年金、つまり日本版401kの導入を目前に控えており、「株式投信はやはりヤバイ」という雰囲気が広がれば、確定拠出型年金の普及にも支障が出かねない。もっとも、そうなった方がいいのかもしれないけれど。
A そういえば、この号が出る頃には表沙汰になって大騒ぎになっているかもしれないが、ネット関連の雄、ソフトバンクが相当ガタガタしているね。
B らしいね。ソフトバンクに関しては、最近はいい話をとんと耳にしない。
A まず注目されるのが、同社常務の北尾吉孝氏の動向だ。野村証券時代には「将来の社長候補」とまでいわれた逸材で、ソフトバンク入りして後は孫正義社長の懐刀として、同社の拡大戦略を支えてきたが、その北尾氏が常務の座を降りるらしい。
(後略)

 

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