記事(一部抜粋):2000年5月掲載

ベルダレポート

「ネット」利権争奪で表と裏が再編へ動く

ゲーム、音楽、芸能、パチンコ、パチスロの「融合」で勃発

ゲームソフト販売会社のデジキューブに撃ち込まれた二発の銃弾が、ゲーム業界に衝撃を与えている。
「ゲームソフトは、もともとパソコンのおタクたちが、遊びのノリで開発していたもの。会社といっても、数年前までは学生サークルの延長のようないい加減なものでした。そんな世界に、いきなり暴力団の抗争のような銃撃ですから、驚きました」(ゲームソフト会社幹部)
 それも深夜の「窓撃ち」と呼ばれるゆるやかな警告ではない。銃撃があったのは四月五日の午後二時一〇分というから白昼堂々。犯人は、渋谷区広尾の雑居ビルに入居するデジキューブ本社に乗り込み、エレベータで六階に昇ったうえで、カードロック式で施錠された音楽配信事業部のドアをめがけて撃ち込んでいる。
「パン!パン!」−−社員は、二発の乾いた銃声を聞いている。ことによれば、社員に発見される恐れがあったわけだし、その際、不測の事態が起きる可能性もあった。そんな危険を犯してまで警告するのだから、よほどのトラブルを抱え込んでいたのだろうが、捜査当局も会社側も、一切、口をつぐんでいる。
「狙われた場所と、今、インターネット音楽配信の会社が次々に設立されているという時代背景から、音楽配信事業でのトラブルじゃないかと思うんですが、とにかく口が固い。目撃者でもいない限り、この種の発砲事件の犯人が逮捕されることはマレですから、心当たりのある会社関係者に恐怖心を植えつけて、事件は迷宮入りの可能性が強い」(警視庁担当記者)
 デジキューブは一九九六年に設立されたゲームソフトの卸会社で、「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」といった人気ソフトの販売で知られている。売り上げ、利益とも急成長を遂げており、九八年七月には店頭登録を果たした。

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】