記事(一部抜粋):2000年4月掲載

社会・文化

許永中事件「最大のターゲット」

自民党大物代議士の逮捕はあるのか

 許永中の関連捜査が大詰めを迎えている。昨年一一月に警視庁捜査共助課に身柄を拘束されて以来、その関連事件で逮捕された人数は一〇人。目下、東京地検と警視庁による合同捜査が展開されているが、いうまでもなく、捜査当局の最終目的は国会議員の摘発。中でも最大の狙いが自民党中枢の大物代議士といわれる。
 現在の捜査当局は、警視庁五〇人、東京地検特捜部二〇人の総勢七〇人体制。警視庁が許永中の逃走ルート、地検が石橋産業事件と役割を分担しているが、二つの案件は登場人物が錯綜し、密接に絡み合っている。そのため、実は、これまでの逮捕者もその扱いが微妙に異なっている。
 たとえば一月に入って逮捕された北海道の大和田義益元弁護士は、逮捕容疑は逃走中の許に対する犯人蔵匿だが、取り調べは逮捕した警視庁だけではなく地検も行っているという。むろん、石橋産業事件の立件を睨んでのことである。
 それらの捜査の中で、キーポイントになる点とはいったい何か。整理してみる。
 そもそも許永中の逃走で、その逃走資金の最大のスポンサーとなったのが、福岡に本社のある化粧品会社とされる。同社から逃走資金に絡んで支出された金額は二二億円。
「内訳は、京都の内外テクニカという会社のビル買収の手付金名目で五億円、大阪のザーティックというコンピュータ機器メーカーへの出資名目で七億円、残りは映画やテレビなどの広告料名目で一〇億円となっている。が、実は同社がこれらの資金を捻出するために行ったと見られるのが、日本レース所有の滋賀県大津市の土地取引だった」(捜査関係者)
 繰り返すまでもなく、日本レースはかつて仕手筋の三洋興産グループに株を買い占められた際、許永中が乗り込んで防戦に回り、逆に手形を乱発してしまった会社。以来、許の実兄をはじめ関係者が入れ替わり立ち代り役員に就任し、許永中関連企業と見なされている。二年前、日本レースの株が急騰し話題になったが、この時には、先の化粧品会社が突如大株主として登場した。今では、それら一連の株式操作は許の仕掛けだったと言われている。
 問題の土地取引が持ち上がったのは、昨年初め。

 

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