記事(一部抜粋):2000年3月掲載

経 済

【企業研究】熊谷組

住友銀行の「最大の爆弾」

《住友銀行が熊谷組に乗り込んで来てから現在に至るまで、熊谷組の異常極まる違法行為と崩壊ぶりに今、熊谷組職員会は、あえて社内事情を告発せざるにはいられない…》
 こんな書き出しで始まる告発文が出回っている。告発者は実体不明の「熊谷組職員会」なる組織。告発先として東京・大阪・福岡の各地検、警視庁、大阪府警、さらには金融再生委員会や証券監視委、建設省、日本公認会計士協会などの名が書き込まれている。いわゆる怪文書の類いだが、書かれている内容については「挙げられている数字など、会社側が公表している決算数値より、むしろ実態を正確に反映しているのではないか」(アナリスト)と見る向きもある。スーパーゼネコンを上回る巨額の負債を抱え身動きがとれない熊谷組。最近の混迷ぶりは、怪文書の内容が真実であると思えるほどに深まっている。
 昨年一一月に発表された熊谷組の九九年九月中間決算は、関係者の意表をつくものだった。
「こんな決算発表は前代未聞。店頭市場のベンチャー企業ならともかく、創立一〇〇年を超える一部上場の大企業で、こんなことが起こるとは…」(アナリスト)
 熊谷組はこの中間決算発表で、五月の時点で発表していた二〇〇〇年三月期の業績予想を、大幅に下方修正した。アナリストたちを愕然とさせたのは、その修正幅のあまりの大きさだった。
 熊谷組が五月に発表した二〇〇〇年三月期の受注目標は八八四〇億円。ところが半年後の十一月の発表では七〇〇〇億円。実に一八四〇億円も減額された。公共工事が減り、民間需要が低迷を続ける中、熊谷組以外の各社も軒並み受注目標を引き下げてはいるが、同社の引き下げ額は群を抜いている。

 

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