記事(一部抜粋):2000年3月掲載

政 治

農水技官、ゼネコン、族議員の「三位一体」

構造改善局汚職の本流は「土地改良事業」

 きな臭さが一段と増してきた農水省構造改善局疑惑。省内の複雑な人脈グループの軋轢から疑惑が飛び火しそうな形勢だ。
 昨年末に続き、年明け早々に構造改善局職員の追加処分があった。いずれも昨年問題になった構造改善局の外郭団体の出入り業者などから規定違反の過剰接待を受けたことが理由だが、二つの処分は、いずれも構造改善局では「非公共」部門に属するノンキャリア職員が中心だ。農水省疑惑を追及する民主党代議士は次のように言う。
「構造改善局には、その『非公共』と『公共』という派閥があって、後者が構改局予算の大半を握り圧倒的な力を持っている。局内ではずっと日陰者扱いだった非公共グループが、公共グループの構造腐敗を内部告発して、そのドサクサで非公共部門の予算シェアを増やそうと考えたが、相手に投げつけた爆弾が自分たちの足下で炸裂して火だるまになってしまったようだ」
 構改局の公共、非公共グループは、前者が農業用ダム、干拓、土地改良、農村集落排水、農道などの建設などが担当業務、後者は、農家民宿などが担当業務だ。年間一兆三〇〇〇億円の構改局予算の大半は公共グループが使う。非公共グループは、そのおこぼれをいただくだけだった。その非公共グループが、この局面で、公共グループを相手に喧嘩を仕掛けてきたのは、次のような事情があるからだ。
「非公共グループは、これ以上干拓事業や農道建設は不要だという世論を形成して、公共グループのスキャンダルをたたくことによって、局内での自分たちの基盤を確立しようとしたのではないかな」(農水省OB)
 農水省の干拓事業がいい例だ。国は四半世紀も減反を続けているのに、いまだに農地の造成にハッパをかけている。土地改良事業も同じこと。米価が急落して、土地改良の工事費を高くして農家負担にしている。自民党代議士の中でも、「土地改良の仕事をかっさらっていくのは農水省の役人とつるんだ土建屋ばかりだ。競争原理は働かず土地改良費は相場の三倍になっている。その分、農家にしわ寄せが及んでいる。土建会社を多く入れて入札制にすれば工事費は三分の一は下がる。農家の負担分もぐっと少なくなるはず」と認める。

 

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