金融界がビッグバンを迎える一足先に、規制緩和の荒波に直面した日本の石油業界が、かねて予想されていたこととはいえ、国際石油資本 (メジャー)の大攻勢を目のあたりにして、いよいよ崖っぷちに追い詰められている。
昨年一〇月、石油元売り最大手の日石三菱が、業界三位のコスモ石油と、原油の調達から精製、物流まで、販売部門を除く包括的な提携を発表した。国内の石油精製能力で三六%という圧倒的なシェアを握ることになり、確かにその面では国内で突出した企業連合が誕生したことになる。
が、日本の大手銀行が大同団結したメガバンクが、国際的にみたら図体が大きいだけで競争力に乏しい無力な存在であるのと同様、“和製メジャー”の内実はお寒いかぎりだ。
湾岸戦争以来といわれる原油価格の高騰が、石油元売り各社の収益を一段と悪化させている。昨年二月に一バレル一一ドル前後だったのが、現在は約二八ドルまで上昇している。原油の大半をメジャーなどから購入して、それを国内で精製し、販売する元売りにとって、この原油高は死活問題になりつつある。
原油の値上がり分をガソリンなどの製品価格にうまく上乗せできれば問題はないが、元売りがコストアップ分をかぶり、採算割れの価格で出荷せざるを得ないのが現実。製品価格が思うように上げられないのは、元売り各社が抱える精製設備が過剰で、その結果、ガソリンなどが過剰に生産され、市場にだぶついているからだ。