記事(一部抜粋):2000年2月掲載

政 治

ポスト小渕「最短距離」は河野洋平

「コントロールのしやすさ」が決め手

 自自公連立の不人気、自由党と公明党に引きずり回される無原則、財政構造改革の放棄とバラマキ財政による赤字国債の気の遠くなるような膨張――。いくつもの要因が重なって小渕政権の落ち目はもはや覆い隠せない。それに伴い自民党内では、小渕後に向けて、実力者の虚々実々の動きが本格化している。ポスト小渕を睨むのは、森喜朗、河野洋平、加藤紘一、梶山静六の四人。だれがもっとも至近距離にいるのか。戦略と展望を探ると、意外にも、党内最小のグループを率いる河野の可能性が濃厚だ。
 ポスト小渕が誰になるかは、当然ながら小渕がどういう形で政権を放り出すかが大きく影響する。衆院解散は、小渕や幹事長の森の言動から、どうやら平成十二年度予算が確立した後の四月以降となりそうだが、政権に執着する小渕の性格からいって、選挙前に退陣する事態は、よほどのアクシデントがない限りありそうもない。
 現状でもっとも可能性が高いと考えられるのは、選挙で国民からノーの判定を突き付けられ、粘り切れず渋々と辞意を表明するケースだろう。加藤と梶山が描く政権戦略の基本は、そうしたケースに、アンチ小渕の代表として自民党の多数から推されることだ。
 国民は何を理由に小渕政権に退陣を迫るような選挙結果を出すのだろうか。民主党代表の鳩山由紀夫は街頭演説などでこうに訴えている。
「自自公政権には四つの魔物が棲んでいる。民主主義は数で押せばいいという数の暴力モンスター、国債を発行して借金を増やすばらまきモンスター、日本の自主性が微塵も感じられない米国べったりモンスター、経済とおカネがすべてというモラル破壊モンスター」
 野党が選挙でその訴えを繰り返せば、国民のノーの理由をマスコミは「自自公連立と財政政策にある」と指摘するに違いない。自民党議員の大方もそう考えるだろう。
 加藤が年明け早々、地元・山形県鶴岡市の講演会で、アンチ小渕の姿勢を次のような言い回しで明確にしたのは、そうした読みがあってのことだ。

 

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