記事(一部抜粋):2000年2月掲載

ベルダレポート

「武器輸出3原則」緩和で日本防衛産業は解体再編へ

「武器貿易」の本格化で米巨大防衛企業によるM&Aの草刈り場に

 金融ビッグバンという巨大な外圧の前に、日本政府は二つの対抗策を断行した。一つは国内金融資本に対する膨大な公的資金の注入であり、もう一つは大手銀行同士の合弁・統合の容認(実際は要請に近いと見た方がいいが)であった。積み増しされた気の遠くなるほどの財政赤字を前に、政府の過剰なまでの金融関与を批判すること忘れてはならないが、この国が自国の金融産業を守ろうとして闘ったことも事実だ。その日本政府が何らの主体性も、また対抗策も示せないまま手をこまねいているもう一つのビックバンが今、日本に襲いかかろうとしている。「防衛産業ビッグバン」である。
 防衛産業というと、「平和国家」日本の国民は何か特別な領域の産業と見てしまう性癖から抜けきれない。防衛産業を国民経済や企業経営の将来をどうするかという視野の中で構想し、議論するという姿勢に欠けてしまう。
 この日本人の特殊性を見透かしたように、日本の防衛産業のいわば「解体再編」の挙に出ようとしているのが米国である。昨年の春先から国防総省の中で準備されてきた国内防衛産業の対外活動に関する一大方針がある。「インダストリアル・グローバリゼーション・イニシアチブ(IGI)」と呼ばれ、米国防衛産業の基盤強化を目指し、海外の有力防衛企業との戦略提携や合弁・買収(M&A)の促進をバックアップしようとするものだ。
 従来、米国政府は最先端軍事技術の流出を防ぐために、国内防衛企業の外国企業との合弁事業や合弁などを原則禁じてきたが、IGIはこの路線を大きく転換するものである。

 

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